底辺からの視線

中年親父目線で気づいたことを雑記的に書き殴るブログ

苦手な女子だけが「本当の僕」を認めてくれた。だから仲良くなった

僕は周りの人が思っているより『弱い人間』で自分の価値観を否定されたくありません。

そして、弱い自分を守るために会社での顔、家族の前での顔、友達の前での顔を使い分けています。その理由は他人から否定されても良い人格を演じることで、本当の自分、自分の本性をひた隠し、誰の目にも触れないようにして、誰からも否定されないようにするためです。

卑怯だと言われても、僕は自分の生き方、価値観を否定されたくはない。なので周りから求められるキャラを演じることで本当の自分を守っています。

そんな僕が嫌われても良いと「本当の僕」を見せてしまった娘(仮に『奈央』とします)に認められ仲良くなった話。

以下の投稿の続きです。

本当の自分に自信がないから、求められるキャラを演じる - 底辺からの視線

勘違いされたままで良い

新卒で就職をして3ヶ月くらい経つと同期の中で「俺はこれだけ会社に貢献しているぜっ!」みたいな自慢話が聞こえはじめ、さらに「俺も頑張らなくちゃ」という人間を増やし、僕のように「クビにならない程度に仕事をしよう」と考える人間からすると、そんなクソみたいな流行を作られるのは迷惑千万な話だし、そんなに価値観に僕を巻き込まないで欲しい。と思っていた頃、頻繁に同期の飲み会が開催されていました。

「これだけ頑張っているんだ」なんて自分で自慢をするのは、認めて欲しいのに認められない人間が『承認欲求』を満たすために騒いでいるような気がして引いてしまう。そんな冷めた僕がいました。

社会人としてやっていくことに不安を覚え、どうしようもなくなった話 - 底辺からの視線

なので、同期の飲み会、自慢大会ではいつも端っこで「早く結婚して寿退社をしたい女子」や「いつ会社を辞めてもおかしくない」と認識をされている落ちこぼれ予備軍と盛り上がることが常になっていました。一切、仕事の話なんてせず、くだらない話で盛り上がる集団。

別に同期に認められる必要はないし、そもそも飲み会とは親睦を深める場であって自慢話や愚痴なんて聞きたくもありません。

別に僕もやる気がないわけでもないし、クビにならない程度には仕事をしてるし、ただ会社に依存して生きたくないと内心くすぶっているいるだけ。だけど、やる気を出せと言われて「はいそうですね」とも答えたくもないし、否定するのも面倒くさい。

そんな態度なので、勘違いをされるけど問題ありません。だって同期に認められる必要なんてこれっぽっちもなくて、逆に仕事ができる人間だと思われ、嫉妬され、恨まれるくらいなら勘違いを続けていて欲しい。

と思っているから本当のことは誰にも言いません。本心は隠すモノ。それが弱い人間が、社会人として生きるための知恵。

楽しく解散、そして・・・

同期の自慢話を嫌と言うほど聞かされながらも、健気に女子たちと愛を語り、仕事の話をしたくない人間とバカ話をして楽しむことが同期の飲み会の目的。僕が何をしているか、何をしたかなんていうのはどうでも良い。僕は他人の自慢話を聞くのが苦痛なので、僕が自慢話をしたら周りに迷惑をかけると思っている。聞かれれば答えるけど、こっちから押し付けるものではありません。

そして、そんな仕事とプライベートを混同しない賢い僕たちは、いつの間にか二次会にも参加しないで帰る集団。最初はみんな嫌々付き合っていたんだけど、僕が帰ると言い出したら、多くの仲間が帰る選択肢を選びはじめました。いつもの顔ぶれで駅まで向かい、方向が同じメンバーでバカ話の続きを楽しみながら電車に乗り、流れで解散していく・・・。

ただその日は、いつもは二次会参加メンバーであり、さらにいうと家も反対方向なハズの苦手な奈央も一緒でした。奈央は僕の可愛い子猫ちゃんたちとも仲が良く、和気あいあいと話をしていました。小心者の僕は、苦手な奈央がいるだけで会話に参加できずに聞き耳を立てていました。

「奈央、珍しくない? 今日はどうしたの?」

「ちょっと用事があって新宿にね」

なんて奈央の話を聞きながら「色々あるよね。社会人だもん」なんて一人で納得していると空気を読まない女子(仮に『恭子』とします)が余計な一言をぶちかましました。

「ねえ、ひらめくん。奈央と話したことある? なんか、二人が話しているのってみたことない気がするんだけど?」

「そう?」

「なんか、ひらめくんらしくないというか、奈央によそよそしいんだよな。怪しい関係だったりして・・・」

本心なのか、冗談なのか・・・。そんなツッコミを入れられると周りの噂好きの女子たちも寄ってたかって、やんや言ってきます。ちょっと前に奈央とは偶然、サシ飲みをしてちょっとだけ意識していたのは事実ですが、会社では話す機会がなかっただけで避けているわけではありません。いや、避けていました・・・。何か苦手意識があるというか・・・

奈央の方に目線を向けると、何か言いたそうに睨んできました。「余計なことを喋るなよ」と大きな目が訴えている気がして困っていると奈央から助け舟が・・・

「そんな訳ないじゃん? 私にも選ぶ権利があるよ・・・」

超笑顔で、僕の胸にグサッと刺さる一言を平然と言ってのける。そして、その一言を信じてしまう女子たちの態度も気に入りません・・・。

「確かに・・・」「そりゃそうだよね・・・」「奈央にも選ぶ権利があるわ・・・」なんて勝手に納得をする女子たち・・・。

僕は、車窓から流れ行く都会の光をひとり寂しく眺めるのでした・・・。

乗り換えのため、新宿で電車を降り他路線に乗り換える女子たちと再会を約束して、ひとり寂しく埼京線のホームに向かっているといきなり、腕を掴まれました・・・。

拉致られる男・・・

僕は金髪パーマでだらしなくネクタイを緩め、猫背で歩いていたので、虫も殺さない平和主義者なのに荒くれ者たちによく勘違いをされていました。「おう。にいちゃん」なんて野太い声で威嚇されるなんて日常茶飯事・・・。

(面倒くさいな・・・)

なんて思いながら振り返ると、身長2m体重100kg超えの戦闘員。がいれば、まだ良かったのですが、そこにいたのは、大きな目で僕を睨む奈央・・・。

「なんだ。奈央さんか・・・。どうした? 迷子?」

「ごめん。びっくりした? えっ何? ごめん・・・。ひらめくんだよね?」

「うん。どうしたの?」

「飲み行こう」

「今から? 誰か呼ぶ? 恭子ちゃんならまだ駅にいるかも・・・」

なんとなく、二人きりになるのが嫌で誰かを呼びたかったのですが速攻で却下されました。

「誰か来たら飲めないじゃん・・・」

この面倒くさい娘は会社では「酒が飲めないフリ」をしていて、頑なに会社の飲み会では、飲んでいませんでした。ただ僕は偶然、飲むことを知ってしまい「会社のメンバーにバラしたら殺す」と脅されていました。

「というか、用事があったんじゃないの?」

「うん。『ひらめくんと飲む』という用事ね」

「意味が分からん」

「いいじゃん。行こうよ」

なんか面倒くさいんだけど、女子に誘われて行かないという選択肢はないような気がして、さらにいうと断るということは苦手なこの娘に負けたことになる気がして付き合うことにしました。

2度目のショットバー

なんとなく、前回の三次会、初めて二人でサシ飲みをしたショットバーに。バーテンダーのおじさんも覚えてくれていたみたいで軽く会釈をしてくれ、無言でカウンターの端っこの席をすすめてくれました。

「どうした? 相談? 金以外なら何でも相談に乗るよ」

「ひらめくんに相談する程、落ちぶれてないよ」

(さっきもそうだけど、僕の胸にチクッと痛い言葉を平気で言わないでくださいよ・・・)

「なんか、みんな本心で話さなくて疲れるよね」

「まあ大人だからね。しょうがないんじゃない?」

「ひらめくんだけだよ。本音で話してくれるの・・・」

(待て待て。僕の本性なんて見せてないし、見せる気もない・・・)

「奈央さん。俺なんて信用しちゃダメだよ。本当は腹黒くて汚くて頭の中はエッチなことしか考えてなくて、今からでも奈央さんにあんなことやこんなことをしようと思っているかもしれないよ」

「ホテル行く?」

「えっ?!」

(なになに、やっぱり東京の女は大胆で、これは僕を誘っているのか? えっ何? 一緒にホテルに行くと睡眠薬を飲まされちゃって、朝、財布がなくなっているパターン? それもやった記憶もないのに「子供ができた・・・」なんて言われちゃったりして・・・)

自分から言っておきながら何ですが、拒否されるのが前提の軽口に対して、女子からホテルに行くなんて誘われると焦る・・・。焦りまくる・・・。

「嘘」

(嘘ね。良かったよ・・・。良かったのか? 残念じゃねーかっ!)

「ひらめくんはチャラチャラしているけど同期の中でイチバン大人だよ。しっかりと自分を持っているし・・・」

(・・・なんか勘違いされてんだよな・・・)

「ごめん。奈央さん。俺を褒めても何も出ないし、夢もないつまらない男なんだよ。勘違いしないで欲しい」

僕は誰からも認められたいと思っていなくて、変な話こうやって二人で飲んでいるけど、別に奈央さんと仲良くなりたいとか、奈央さんに認めてもらいたいなんて気持ちはないこと。もちろん、女子としての魅力は感じていて身体を許してくれるなら喜んでエッチをする。だけど、僕は奈央さんが苦手で出来れば絡んでほしくないことを素直に伝えました。

「そうなんだ・・・。なんか避けられている気はしたけど・・・。ごめんね・・・。私の勘違いだったみたい・・・。うん、ありがと。本当のことを言ってくれて。凹んだけど・・・。ひらめくん、本当にごめん・・・」

(・・・待て待て。泣くなっ! 俺が悪者になってしまう・・・)

「なんかごめん。俺、クソみないな人間だから・・・。なんかオブラートに包んで話すことができなくて・・・」

「うん。本当に最低の男だよね。こんな仕打ちをされたのは初めてだよ・・・」

「そりゃそうだよね・・・なんか感情的になってごめん・・・」

なんか罪悪感があり、帰るとも言えず・・・。しばらく、お互い無言で、ただただ空いたグラスを見つめていました。

「うん。ありがと。最後に私のことが苦手な理由を教えて」

奈央が吹っ切れたように大きな目で、僕のことをみてきました。僕はこの真っ直ぐな視線が苦手でした。奈央をこれ以上傷つけないように言葉を考えながら伝えました。

「奈央さんが俺を疑ってないことに耐えられないんだ」

僕は誰とでも深い関係になりたいとは思っていなくて、出来れば表面上の付き合いだけで誤魔化して生活をしたい。それは、お互いに利害関係が生まれ、それが原因でお互いに半信半疑になり、駆け引きをするのが面倒くさいから。なのに、奈央さんは自分の隠したい部分を僕に晒してくるから、僕も隠していることを晒さないといけない気分になってしまい、本当の自分を晒すのが怖い僕は苦手だと感じてしまう・・・。

僕は素直な奈央さんと違って、根性がひん曲がっていて本性というか「本当の僕」は誰にも見せたくない。僕の本性を見せたら嫌われて当然。そしてそんな僕の本音の部分を否定されて凹むなんて経験をしたくはない。

「うん。本当のことを話してくれてありがとう。ひらめくんが本当に最低な男だということは分かったよ」

「まあ、そうだよね・・・。お互いに近づかない方がwin-winなんだよ・・・」

「それとこれは別。その根性を叩き直してやる」

「えっ!?」

(意味が分かりません・・・)

「良いじゃん。本当のひらめくんが、弱くて汚くてスケベでも。誰にも認めてもらえないかもしれないけど私だけは認める。今、ひらめくんが言ったことに嘘がないならね!」

「何それ? 告白?」

「そんなわけないでしょ?」

「嘘はついてないんだけど、僕が奈央さんのことが苦手なのは変わらなくて・・・」

「大丈夫。奈央は素直な女の子だから直ぐに慣れるって。惚れるなよ!」

訳がわからなかったけど、奈央には奈央なりの理屈があって、僕に絡むことに決めたみたいで、僕は僕で、この日は奈央を泣かしてしまったり、誰にも話さずひっとりと思っていたこと言葉にして伝えたり、面倒くさくなりどうでもよくなってしまいました。

ちょっと長くなってきたので別の投稿に続きます。

苦手な女子だけが「本当の僕」を認めてくれた。だから仲良くなった2 - 底辺からの視線