底辺からの視線

中年親父目線で気づいたことを雑記的に書き殴るブログ

本当の自分に自信がないから、求められるキャラを演じる

魑魅魍魎が蠢く汚い大人の世界で生きるためには、本当の自分をひた隠し、周りが求めるキャラを演じることが必要です。

なんか、卑怯に感じるかも知れないけど、素の自分を否定されて凹まない強い人間でなければ、何者かを演じ、演じているキャラを否定された方が受けるダメージが遥かに小さいのです。

また、社会人になると他人との関係には、必ず利害が発生するので相手から求められるキャラを演じておけば、利益が得られる確率が上がります。

素直にありのままの自分を見せる必要はありません。会社の顔、友達にだけ見せる顔、誰にも見せることのない本当の自分を使い分けるのが、賢い社会人の生き方です。

ですが、そんな世知辛い世の中で生きるには、弱い自分を認めてくれる人間がいると凄くラクなのも事実です。社会人になり会社用の仮面をかぶり、気を張りつめて生活をしていた僕は、ある娘に仮面を剥がされ、親友と呼べるまでになりました。

硬く強靭な仮面を被り続ける

誰でも本心を晒すことは怖くて「よそ行きの自分」を演じています。本当の自分を晒して否定されるほど凹むことはなくて、多かれ少なかれ、自分の弱い部分を隠しながら生きています。

会社でのキャラ、彼氏としてのキャラ、家族の前でのキャラ・・・。いくつかのキャラを演じていますよね。

実際に欲望や感情を丸出しにできる相手は何人いますか? 本音で何でも話せる友人は何人いますか? 僕は聖人君子ではないし、正義のヒーローでもありません。本当の汚い部分、弱い部分らひた隠し、いい人ぶっているだけです。

この匿名ブログでは本心を出来るだけ晒そうと思っていますが、それでも少しはオブラートに包んでいて本心を隠しています。

本音というか、弱い部分、親にも見せない恥ずかしいところにずけずけと土足で踏み込んでくるウザい人間が苦手です。

本音を聞き出してくる人が苦手です

夢は何だね?

約20年前、就職をすることが夢でサラリーマンとして働くことが人生のゴールだと信じ切っていた頃の話。苦手な女子(仮に『奈央』とします)とサシ飲みをすることになり、不意にされた質問でした。

ここまでの流れは以下の投稿でご確認ください。

約20年前にある娘と会って今の自分がいる - 底辺からの視線

約20年前にある娘と会って今の自分がいる2 - 底辺からの視線

もう考えるのも面倒くさいし、苦手な娘に本音を晒すほど僕もバカじゃありませんでした。

「真剣に考えて」

第一印象から苦手な人間で、相手のことが苦手であればあるほど、自分の殻にこもり「よそ行きの自分」という鎧で自分を守る小さな男。

なのに、僕を信じているかのように、本心を聞き出そうとしてくる娘がウザくて、そんなに簡単に他人を信じると騙されると教えてあげたくなってしまう。

(本当に気に入らない・・・)

20代の男なんて「SEXしたい」もとい「子孫を残すトレーニングをしたい」くらいしか思っていなくて、夢は「莫大の富と権力を手に入れて綺麗なお姉さんをハベらかせて楽しく生きること」くらいしかありません。

そしてそんなガキみたいな夢を語っても、この娘は納得しない。しないと思う。さらにいうと別に僕の夢を知りたい理由も分からないし、僕が夢を語る必要性も感じない。残念ながら心を許していません。

建前で良い。チャラい男を演じれば良い、本当の自分を晒して否定され、凹む必要なんてありません。

「働き者の嫁さんを貰って、仕事もしないで一日中好きなことをするのが夢かな・・・」

「好きなことって?」

「ギターを弾いたり、友達と出かけたり・・・まあ、色々とね」

「そんな生活で後悔しない?」

「後悔ねぇ・・・するかもね」

「それで良いの?」

(あ〜面倒くさい・・・)

「良いんだよ。今が楽しけりゃどうでも良い」

「嘘つき・・・」

不意に奈央から漏れた言葉・・・。以前にもこの娘に言われたんだけど、どうして僕の本心を見透かされているようで焦る・・・。思わず、隣に座っている娘を睨む。

(横顔が可愛い・・・)

そして大きな目で睨み返してくる・・・。

「本気で言ってる? 私の目を見て答えて」

この大きな目で睨まれるとビビる・・・。目が泳ぐ・・・。

「嘘、冗談、本気ではない・・・ごめん・・・」

「素直でよろしい」

ほろ酔いで目がうるうるして薄暗い間接照明のお店の中で、にこやかに笑っていると凄く可愛い・・・。

このままでは相手のペースに巻き込まれ、不意に本音が漏れてしまう事故が起きるかも知れません。

(話題を変えよう・・・)

「普段、酒飲まんのに大丈夫?」

「えっ飲めるよ。ただ会社では飲みたくないだけ」

奈央曰く、お酒を飲んで不特定多数の人間に『本当の自分』を晒したくない。だから会社では飲めないキャラで行く。会社のメンバーに酒が飲めることをバラしたら殺す・・・。

(分からなくはない・・・)

どうしても、お酒を飲んでガードが緩くなると狼みたいな男から狙われるし、自分の本性というか、話さなくて良いことも酒の魔力で話してしまうこともある。会社という男社会では、半強制的に飲まされることもあるので女子は「お酒が飲めない」というキャラを演じるのがイチバン安全。

「納得。黙っておくよ」

「ひらめくん、会社でムリしているでしょ?」

「仕事だからね」

「やっと本当のことを白状したね」

参った・・・。建前で固めた鎧を脱がされていくイメージ。

本来は、人見知りだし、好き嫌いが激しいので集団行動が苦手。そして、大人数だと相手の反応がわかりづらいので、大人数です盛り上がるのが大嫌い。だけど、会社で求められるので、盛り上げ役を買ってでるし、誰とでもフランクに話すキャラを演じていました。絶対にバレていない自信があった。

「奈央さん、いつからそう思っていた?」

「研修のとき。入社式のときの雰囲気と違っていたから・・・」

(入社式で話たっけ?)

「タバコ・・・。凄くダルそうに吸ってたでしょ?」

「ああ、奈央さんにニラまれた・・・」

あのときは、アホ面してたような・・・。恥ずかしい・・・

「ニラんでないからね。ただ同じ会社の人だったら嫌な奴だと思っていた・・・」

「何千人もいて、俺?」

「だって見た目も怖そうだし、人を殺しそうな雰囲気だったから・・・」

(そんな攻撃的な人間ではありません。現に奈央さんにニラまれてビビっていたし・・・)

「・・・」

なんというか、酒を飲めるのを隠しているという奈央の秘密を聞いてしまうと、少しずつ僕の秘密も話さないといけないような気がして、お互いに本音の暴露大会のような感じになり、あれだけ苦手だったのに、なんとなく距離が縮まりました。

結局、始発までバカな話をして飲んで解散・・・。

僕は卑怯だと思われるかもしれないけど、会社では会社から求められるキャラを演じ続けます。それは本当の自分に自信がないからであって、他人を騙そうなんていう気はサラサラありません。

ただ、本当の自分を認めて貰うことで自信がつくのも事実です。全人類に認めてもらう必要はなくて、大切な誰かにだけ認めてもらいたい。

承認欲求があるのは認める。だけど、認めてもらいたい相手は誰だ? - 底辺からの視線

僕の奈央の話は以下の投稿に続きます。

苦手な女子だけが「本当の僕」を認めてくれた。だから仲良くなった - 底辺からの視線