底辺からの視線

中年親父目線で気づいたことを雑記的に書き殴るブログ

本当の自分に自信がないから、求められるキャラを演じる

魑魅魍魎が蠢く汚い大人の世界で生きるためには、本当の自分をひた隠し、周りが求めるキャラを演じることが必要です。

なんか、卑怯に感じるかも知れないけど、素の自分を否定されて凹まない強い人間でなければ、何者かを演じ、演じているキャラを否定された方が受けるダメージが遥かに小さいのです。

また、社会人になると他人との関係には、必ず利害が発生するので相手から求められるキャラを演じておけば、利益が得られる確率が上がります。

素直にありのままの自分を見せる必要はありません。会社の顔、友達にだけ見せる顔、誰にも見せることのない本当の自分を使い分けるのが、賢い社会人の生き方です。

ですが、そんな世知辛い世の中で生きるには、弱い自分を認めてくれる人間がいると凄くラクなのも事実です。社会人になり会社用の仮面をかぶり、気を張りつめて生活をしていた僕は、ある娘に仮面を剥がされ、親友と呼べるまでになりました。

硬く強靭な仮面を被り続ける

誰でも本心を晒すことは怖くて「よそ行きの自分」を演じています。本当の自分を晒して否定されるほど凹むことはなくて、多かれ少なかれ、自分の弱い部分を隠しながら生きています。

会社でのキャラ、彼氏としてのキャラ、家族の前でのキャラ・・・。いくつかのキャラを演じていますよね。

実際に欲望や感情を丸出しにできる相手は何人いますか? 本音で何でも話せる友人は何人いますか? 僕は聖人君子ではないし、正義のヒーローでもありません。本当の汚い部分、弱い部分らひた隠し、いい人ぶっているだけです。

この匿名ブログでは本心を出来るだけ晒そうと思っていますが、それでも少しはオブラートに包んでいて本心を隠しています。

本音というか、弱い部分、親にも見せない恥ずかしいところにずけずけと土足で踏み込んでくるウザい人間が苦手です。

本音を聞き出してくる人が苦手です

夢は何だね?

約20年前、就職をすることが夢でサラリーマンとして働くことが人生のゴールだと信じ切っていた頃の話。苦手な女子(仮に『奈央』とします)とサシ飲みをすることになり、不意にされた質問でした。

ここまでの流れは以下の投稿でご確認ください。

約20年前にある娘と会って今の自分がいる - 底辺からの視線

約20年前にある娘と会って今の自分がいる2 - 底辺からの視線

もう考えるのも面倒くさいし、苦手な娘に本音を晒すほど僕もバカじゃありませんでした。

「真剣に考えて」

第一印象から苦手な人間で、相手のことが苦手であればあるほど、自分の殻にこもり「よそ行きの自分」という鎧で自分を守る小さな男。

なのに、僕を信じているかのように、本心を聞き出そうとしてくる娘がウザくて、そんなに簡単に他人を信じると騙されると教えてあげたくなってしまう。

(本当に気に入らない・・・)

20代の男なんて「SEXしたい」もとい「子孫を残すトレーニングをしたい」くらいしか思っていなくて、夢は「莫大の富と権力を手に入れて綺麗なお姉さんをハベらかせて楽しく生きること」くらいしかありません。

そしてそんなガキみたいな夢を語っても、この娘は納得しない。しないと思う。さらにいうと別に僕の夢を知りたい理由も分からないし、僕が夢を語る必要性も感じない。残念ながら心を許していません。

建前で良い。チャラい男を演じれば良い、本当の自分を晒して否定され、凹む必要なんてありません。

「働き者の嫁さんを貰って、仕事もしないで一日中好きなことをするのが夢かな・・・」

「好きなことって?」

「ギターを弾いたり、友達と出かけたり・・・まあ、色々とね」

「そんな生活で後悔しない?」

「後悔ねぇ・・・するかもね」

「それで良いの?」

(あ〜面倒くさい・・・)

「良いんだよ。今が楽しけりゃどうでも良い」

「嘘つき・・・」

不意に奈央から漏れた言葉・・・。以前にもこの娘に言われたんだけど、どうして僕の本心を見透かされているようで焦る・・・。思わず、隣に座っている娘を睨む。

(横顔が可愛い・・・)

そして大きな目で睨み返してくる・・・。

「本気で言ってる? 私の目を見て答えて」

この大きな目で睨まれるとビビる・・・。目が泳ぐ・・・。

「嘘、冗談、本気ではない・・・ごめん・・・」

「素直でよろしい」

ほろ酔いで目がうるうるして薄暗い間接照明のお店の中で、にこやかに笑っていると凄く可愛い・・・。

このままでは相手のペースに巻き込まれ、不意に本音が漏れてしまう事故が起きるかも知れません。

(話題を変えよう・・・)

「普段、酒飲まんのに大丈夫?」

「えっ飲めるよ。ただ会社では飲みたくないだけ」

奈央曰く、お酒を飲んで不特定多数の人間に『本当の自分』を晒したくない。だから会社では飲めないキャラで行く。会社のメンバーに酒が飲めることをバラしたら殺す・・・。

(分からなくはない・・・)

どうしても、お酒を飲んでガードが緩くなると狼みたいな男から狙われるし、自分の本性というか、話さなくて良いことも酒の魔力で話してしまうこともある。会社という男社会では、半強制的に飲まされることもあるので女子は「お酒が飲めない」というキャラを演じるのがイチバン安全。

「納得。黙っておくよ」

「ひらめくん、会社でムリしているでしょ?」

「仕事だからね」

「やっと本当のことを白状したね」

参った・・・。建前で固めた鎧を脱がされていくイメージ。

本来は、人見知りだし、好き嫌いが激しいので集団行動が苦手。そして、大人数だと相手の反応がわかりづらいので、大人数です盛り上がるのが大嫌い。だけど、会社で求められるので、盛り上げ役を買ってでるし、誰とでもフランクに話すキャラを演じていました。絶対にバレていない自信があった。

「奈央さん、いつからそう思っていた?」

「研修のとき。入社式のときの雰囲気と違っていたから・・・」

(入社式で話たっけ?)

「タバコ・・・。凄くダルそうに吸ってたでしょ?」

「ああ、奈央さんにニラまれた・・・」

あのときは、アホ面してたような・・・。恥ずかしい・・・

「ニラんでないからね。ただ同じ会社の人だったら嫌な奴だと思っていた・・・」

「何千人もいて、俺?」

「だって見た目も怖そうだし、人を殺しそうな雰囲気だったから・・・」

(そんな攻撃的な人間ではありません。現に奈央さんにニラまれてビビっていたし・・・)

「・・・」

なんというか、酒を飲めるのを隠しているという奈央の秘密を聞いてしまうと、少しずつ僕の秘密も話さないといけないような気がして、お互いに本音の暴露大会のような感じになり、あれだけ苦手だったのに、なんとなく距離が縮まりました。

結局、始発までバカな話をして飲んで解散・・・。

僕は卑怯だと思われるかもしれないけど、会社では会社から求められるキャラを演じ続けます。それは本当の自分に自信がないからであって、他人を騙そうなんていう気はサラサラありません。

ただ、本当の自分を認めて貰うことで自信がつくのも事実です。全人類に認めてもらう必要はなくて、大切な誰かにだけ認めてもらいたい。

承認欲求があるのは認める。だけど、認めてもらいたい相手は誰だ? - 底辺からの視線

僕の奈央の話は以下の投稿に続きます。

苦手な女子だけが「本当の僕」を認めてくれた。だから仲良くなった - 底辺からの視線

サラリーマンには夢も希望もない。真の『負け組』はサラリーマン

学生時代は同じ時間を嫌というほど共有したのに社会人になって離れ離れになり、年賀状と年に1、2度の連絡しかしなくなる仲間。一生の友だと思っていたのに40歳を超えてお互いに家庭を持ち、生活のリズムが合わず、なかなか会えない仲間っていますよね。

僕は比較的、連絡を取る方だと思うんだけど、常時連絡が取れるのは数人。たわいもない話で盛り上がっています。

そんな仲間は損得関係が少ない学生時代しかできません。あなたが学生なら頑張ってそんな仲間を作ってください。社会人になって違う道を進んでいても、ふとしたときに顔を思い出し、連絡をすれば、タイムスリップできる仲間は本当に大切です。

僕は2000年に就職をした氷河期世代で、実際に学生時代の仲間のうち、半数近くは就職ができずにフリーターになりました。その中には夢を追いかけ、自らフリーターという道を選んだ仲間もいます。

安定のサラリーマンを選んだ僕ですが、思ったより社会は厳しく「終身雇用の崩壊」や「45歳定年制」などサラリーマンとしての生活は安定したものではありませんでした。給料は上がっているけど、手取りにするとほとんど変わらないなんて話もよく聞きます。

20年以上もサラリーマンをしていて今更だけど、サラリーマンは『勝ち組』ではなく、実は『負け組』なんではないかと思っています。

サラリーマンは人生を楽しめない

サラリーマンをしている理由は、ラクをして稼ぐことだったはずで正社員として就職をすれば一生安泰だと思っていたから。定年までどうにか会社にしがみついていれば、生活に困ることなんてない。という夢と希望を持ってサラリーマンをしていました。

ですが、年功序列や終身雇用といった『サラリーマン神話』は崩れ去り、多くのサラリーマンは必死に会社から見限られないように体裁を整え、仕事をしなくてはいけない時代に突入しました。

サラリーマンの仕事は個人で稼ぐようなショボい仕事ではなくて、単純で退屈なモノではなく、スケールの大きい、価値の高い仕事で、色々な人間が協力して連携しなければ完遂することができない仕事。

「俺がいなけりゃ会社は回らない」

なんてことはなく、組織で稼いでいるので、残念ながら代わりはいくらでもいる。サラリーマンなんてどんだけ偉そうにしていても、交換できる部品なんです。

そして、多くの人間が集まって、個人ではできないことを効率よくするために会社があり、サラリーマンは与えられた仕事をキチンとこなし、会社のために働く必要があります。

会社ではそれぞれの能力に合ったポジションが用意され、お互いに調整をしながら上手く仕事をする。一人では工場を動かすこともできないし、作ったものを売るのもチームで動かなければならないし、一線で活躍する人たちのやりたくないこと、誰もがやりたくないことを片付けるバックオフィス的な仕事をする人間も必要です。

サラリーマンの人生がツラい理由

サラリーマンが人生を楽しめないのは、この複雑怪奇な人間関係を持続、発展させなければならないため、いつでも頭の片隅に仕事があって何も考えずに生活を楽しむことができないからです。

真の意味で仕事から解放されることは一生なく、絶えず仕事のこと、会社のことを考えてしまいます。必死になって会社に媚を売らなければ、いつでも交換することができるのがサラリーマン。

嘘だと思うかもしれないけど、僕は20年以上サラリーマンをしてきて、自分のことを過信して「俺は絶対に会社に必要な人間だ」なんて言っていた人間が、遠隔地への転勤などという嫌がらせを受けたり、直接、リストラという悲劇に襲われたのを何人も見てきています。

パワハラだ、セクハラだと騒がれるのも、部下や女性との関係性が良くないからで、同じことをしているのに騒がれ、訴えられる人間とそうじゃない人間がいるのと同じで、サラリーマンにとって社内の人間関係はとても重要な悩みの種なのです。

ですが、フリーターにはそんな悩みがありません。

フリーターという働き方

そもそもフリーターとは誰でもできる単純作業をして稼いでいる人たちで、ある意味、選択をする責任なんてない仕事をしています。つまり仕事で悩む必要も考える余地もありません。言われたことを言われた通りにミスなくこなすのがフリーターに与えられる仕事で、上手くやろうとか、効率化を考える必要はありません。

仕事中も、仕事が終わってからも仕事について考える必要はありません。定時前になれば「後、1時間で仕事は終わりだな。今日は何食べよう・・・」と仕事に関係ないことを考える余裕もあるし、仕事が終われば、まるっきり仕事から解放されます。

真の意味で仕事から解放されます。完全に仕事から離れて自分の生活を満喫できる。全力でプライベートを味わえるのです。

全ての意識は、自分の生活に向けられるのです。フリーターにとっては、自分の生活を存分に楽しむことが人生の中心であり、仕事は好きなことをするために必要なお金を稼ぐ手段でしかありません。

生活を楽しむということは人生を楽しむということで、本来はフリーターのような働き方が理想的で、サラリーマンの働き方は本末転倒。

仕事がメインで本末転倒なサラリーマン

本来は生活を豊かにするための仕事であったはずなのに、重い責任やノルマを背負され、神経をすり減らし、社内の政治ゲームに疲労して、プライベートを楽しむこともできず、いつでも仕事のことを考えていふのがサラリーマンです。

サラリーマンの生活は仕事がメインになってしまい、子供たちとの約束を「仕事だからごめんな」なんて平気で破り、全てを仕事のせいにしてプライベートを楽しめる余裕がありません。

フリーターよりサラリーマンの方が良いという理由に生涯賃金の話があがりますが、実際に人生を楽しむためには、お金より大事なものがあって、どれだけ楽しめているかという生活価値で比べるべきだと思います。

実際に現在の生活が満足をしているサラリーマンは、ほとんどいません。

リクルートワークスの調査によると生活に満足している約50%、仕事に満足している人は約40%しかいません。約半数は生活に満足をしていません。

サラリーマンが負け組だと思う理由

サラリーマンは安定した収入があるし、老後は安泰なんて希望的観測をしている人間も少なくはないけど、本当にこれから先の人生なんて分かりません。

45年定年制なんて実現はしないと思うけど、つまり企業側、経営者側としては45歳をピークに給料を下げたいという意図が見え隠れしています。つまり70歳、75歳まで定年伸ばし、安い賃金で働かせようという意図が含まれているのです。

はっきり言ってサラリーマンが勝ち組だというのは過去の価値観であって、これからは人生を楽しんでいる人間こそが勝ち組なのです。

働き方改革で副業を進めるのも、会社という組織だけでは生きていけなくなるよというメッセージだし、45歳定年制だって、もう給料を上げられんぞというメッセージなのです。

手に入る賃金は少ないかもしれないけど、好きなことをして生きているフリーターの方が幸せな人生で、さらにいうと今の時代は個人でそれなりに稼ぐことが可能になってきました。つまり、楽しみながら金を稼げるフリーターが『勝ち組』です。

どんなに会社で偉い人間でも会社がなくなれば、稼ぐことはできません。さらにいうとフリーターをバカにしていたくせに副業でフリーターと同じ仕事をしているアホみたいなサラリーマンも多い。

サラリーマンは真の『負け組』になりつつあります。まさか『サラリーマン神話』なんて御伽噺を信じている夢の国の住民はいないですよね・・・。

約20年前にある娘と会って今の自分がいる2

人生を変える人間との出会いというのは誰にでもあるもので、リアルな世界では恥ずかしくて誰にも話せません。

僕の人生を大きく変えたのは同期の女子でした。そんな娘との出会い。以下の投稿の続きです。

約20年前にある娘と会って今の自分がいる - 底辺からの視線

僕はひねくれ者なので、素直というか、他人を疑うことを知らないというか、他人に対して真っ直ぐな人間が苦手です。

困ったことに、そんな苦手な娘(仮に『奈央』とします)と二人きりにされてしまいました。

ビビりまくり、緊張しまくり

普通に考えれば、女子と二人きりなんてチャンスでしかなく、僕もこの娘じゃなければテンション高め、下心丸出しで誘っていたと思います。

だけど僕のビビりカウンターが危険を伝えてくるのです。

こいつとは仲良くなれない・・・

理由なんてなく、ただの勘です。だけど僕の勘は当たる。奈央には悪いけど、苦手な人と一緒にいる時間ほどムダはな時間はありません。さらに言うと僕が苦手ということは、相手も僕のことが苦手なハズでお互いに関わらない方が良い付き合いなのです。

この緊張感から解放されたい。

「お疲れ。とりあえず駅まで送るよ・・・」

「うん」

普段はテンション高め、気合マシマシで女子とは話すのですが、二人きりになると何を話して良いのか分からないウブな僕がいました。

だけど、弱い自分をさらけ出すなんていうアホなことはしません。テンションを上げ、必死に場を繋ぎます。なのに、なかなか乗ってこない。なんか、ひとりで焦ってペラペラとしゃべり、虚しい気持ちが湧いてきました。

(ああ、面倒くさい・・・)

盛り上げることを諦め、黙々と二人で駅に向かう選択をしました。もう、どうでも良いなんて不貞腐れてポケットに手を突っ込み、タバコに火をつけ、咥えタバコ。

歩きながら、奈央を観察すると、悲しい気持ちになってしまいました。

堂々と歩く奈央と猫背でポケットに手を突っ込み、タバコを咥えながら歩く僕、ビシッとスーツを身にまとい一分の隙さえない奈央と隙だらけで襲われたら直ぐに絶命してしまいそうな僕、明るい道を歩く奈央とコソコソと日陰を歩くと僕。どう考えても不釣り合いな二人。さらにいうと、なんとなく不機嫌そうな奈央と酔っ払いの僕。完敗です

「ねえ、飲み直さない?」

足早に駅に向かう途中、あり得ない提案を受け、テンパる小心者がいました。だけど、そんなカッコ悪い自分を誤魔化すために精一杯努力します。

「ホテル行く?」

目の前のラブホテルの明かりを指差し奈央と目を合わせる。

(怖いから睨まんでくれ・・・)

「嘘、冗談。本心ではない・・・。すまん・・・。ごめんなさい」

「どっか良いお店ない?」

任せてください。学生時代から飲み歩いていたので、女子受けする店から、枯れた親父が集う店までレパートリーは豊富です。

というか、男を誘うテンションではないよね? 学生時代だったら、間違いなく「嫌だね、じゃあねっ!」なんて勿体ないけど叫んで帰るんだけど、先輩の顔もあるし、何よりも社会人としてそんな態度は子供っぽ過ぎる。なんか面倒くさいけど、付き合うことに。

とは言っても、小さい男です。相手が飲まないと知っていながら、飲まずにはいられない店に連れて行き、早々に切り上げるつもり・・・。

「行き慣れた店で良い?」

「任せる」

ということで、カウンターのみ、ママとチーママ、そして、酔っ払いの常連親父たち、アットホームな居酒屋へ電話して行く旨を伝える。

はっきり言ってホームです。ホームグランド。僕のことを知らない人がいない小さな飲み屋。女子客なんて見たことがないチンケな小料理屋。暖簾をくぐれば、こっちのもの。

知り合いばかりで、奈央さんと話す必要もありません。勝手に飲んでママ、チーママと盛り上がり、居心地の悪くなった娘は僕を置いて帰るハズ・・・。そんな計算。

痛恨の計算ミス

店に入るなり、目を輝かせる奈央・・・。

「おう、ひらめ! 久しぶりだな? なんだサラリーマンか?」

僕の服装を見るなり、常連の親父が声をかけてくる。ママもチーママも笑顔で迎えてくれます。神・・・。

「就職、おめでとう!」

「うん。ありがとう。ビールで」

チーママから瓶ビールを受け取り2つのコップに注ぐ。

「相変わらず、手が早いな? 新しい彼女か?」

常連の親父たちは奈央に興味深々。

「会社の同僚? 別に仲良くないし」

「奈央です。よろしくお願いします」

奈央は嫌な顔をせず、常連の酔っ払いに笑顔を振りまく。意外・・・。

なんか悪いことをしている気になりながら、ビールを注いだコップを奈央に渡しました。

とりあえず僕たちの就職祝いということで乾杯。

(飲むじゃん・・・)

酒は飲まないと言っていたくせに、グイグイ注がれるがままに飲む・・・。寂れた居酒屋で若い女子に飢えた親父たちのハイテンションに合わせ、テンション高めで、めっちゃ楽しそうに飲む。

(知らないからな。東京は怖いところだからな・・・)

小1時間程、ママとチーママに近況報告を済ませ「帰ろうか」と提案するもスケベな親父たちと盛り上がる奈央は席を立とうとはしません。予定より長居をしてしまいました。

「帰ろう」

後ろ髪を引かれる奈央を無理矢理立たせ、店を出ました。もう十分だろ・・・。

店を出て歩き出し、疑問に思っていたことを聞いてみました。

「飲めんじゃん・・・」

「私、『飲めない』なんて言った? 『飲まない』とは言ったけど」

なんて笑顔で振り返る奈央の仕草に身体の中心がゾクゾクしました・・・。はちゃめちゃ可愛い・・・。

「なんか良かったよ。もっとオシャレな店に連れて行かれたら、帰ろうと思ってた」

(えっ、そっち?)

人生は選択の連続で間違った選択をしてしまうときがあります。早く帰るためにはオシャレで女子受けする店を選択するべきでした。

「楽しんでくれて良かったよ」

作戦は失敗したんだけど、この娘の意外な一面が見れて、ちょっとだけ得した気分になりました。

ここまでは・・・。

もう一軒、追加される

タバコを咥えながら駅まで歩く途中、意外な提案が・・・。

「ちょっと話がしたいんだけど・・・」

(告白か? 東京の女は積極的だって言うし「SEXしよ」なんてトレンディドラマの女子のように逆告白もあるよな・・・)

「もう一軒、付き合ってよ」

「お、おう」

下心全開です。もしかしたら間違いがあるかも知れません。社会人になってもワンナイトラブなんて全然あるじゃん? 男なら誰でも期待をするシチュエーション。苦手な女子だろうが関係ありません。本能の赴くままお互いの肉体を求めあえば良いのです。男女間に言葉はいりません。

期待に心を躍らせ、奈央の後についていくと連れて行かれたのは重厚な扉のショットバー

奈央が学生時代のサークルの先輩と何度か来たことがあるお店らしく、カウンター内の渋いバーテンダーさんとも知り合いのようでした。

先程のお店とはテンションが違い、なんとなくネクタイを締め直す小心者の僕。カウンターに並んで座り、奈央とバーテンダーさんとの昔話に耳を傾けながらも、店の中をキョロキョロと確認。

これは僕の癖で、自分がどこにいるのか、どこに何があるのか、危険はないかを確認するまでは落ち着けません。危機管理というか、初めて訪れる場所では必ず行ってしまう習性。

「ひらめくん、ちょっと良い?」

「うん。何?」

夢は何だね?

「へ?」

凄く間抜けな顔をしていたと思います。不意を突かれた。想像もしていなかった質問。だけど焦っているところは見せられません。

「世界征服?」

「真面目な話。何がしたい?」

「奈央さんとエッチなこと」

(ごめんなさい・・・。睨まないでもらって良いですか? マジで怖いんだけど・・・)

「夢は何だね? 真剣に考えて」

と言い残し、真緒はトイレに。

無理じゃん。夢なんてないよ。追いかける夢がないから、平々凡々の生活を送り、そこそこの幸せを手に入れるために、サラリーマンになったわけだし、世間のサラリーマンのほとんどが夢も希望も抱かず、ただ淡々と仕事をして些細なことで一喜一憂しているのです。

それも新卒のバカには答えなんてあるわけない。目の前のことで精一杯で将来のことなんて考える余裕もない・・・。

自分の理想、夢がなければ希望もない。今の生活から脱出する唯一の方法 - 底辺からの視線

40歳を超えた今だから分かる

当時は面倒くさい奴だと思っていたけど、40歳を超えて息子たちを育てていると夢を持つ必要性というか、人生の目標を持つ大切さを感じます。僕は、このときの奈央に言われた言葉が忘れられず、いまだに何か悩むことや選択を迫られたときは思い出すようにしています。

夢は何だね?

もう連絡も取れないんだけど、僕にとっては人生の師匠であり、僕が変わるきっかけになった大切なヒト。

ただなんとなく生きることも悪くはないし、そんな生き方を否定するわけではありません。だけど、僕は、誰かのエゴのために行きたくはありません。死ぬ間際に「楽しかったな」と思える生き方をしたい。

間違った選択をしてしまうときもあるけど、それも僕の責任だし、他人任せで安定した人生なんて面白くないと思うし、失敗をしても自分で選択した人生を歩みたい。

そして、この投稿を読んだあなたにとって、僕が奈央の代わりになれれば最高です。

あなたの夢はなんだね?

くだらない僕の成長物語ですが、続きに興味を持って頂けたら、以下の投稿へ続きます。

本当の自分に自信がないから、求められるキャラを演じる - 底辺からの視線

約20年前にある娘と会って今の自分がいる

こんな話をするのは、照れるので現実、リアル社会では絶対にしないけど、僕には、人生を変えた出会いがありました。

なんとなく、我が半生を振り返ると僕が社会人としてサバイブして来れたのは、悔しいけれど、その娘に怒られ、諭され、感化されたからだと感じています。

こんな話は、本当なら僕の心の底に置いておいて、キレイな思い出として大切にしておけば良く、誰にも伝える必要はないのですが、誰かのヒントになれば嬉しいし、もう連絡も取れず、感謝の気持ちを伝えられない大切な友人をリスペクトしてブログに残しておきます。

クソ生意気な娘との出会い

2000年4月。就職氷河期と呼ばれていた年代。

有効求人倍率が0.6という過酷な就職戦線を勝ち抜き、東証一部上場の大企業に滑り込めた僕は『勝ち組』。

一生安泰のチケットを手に入れ、後は社会の一部として、世間の荒波から会社に守って貰える。という安心感を手に入れた。だけど「好きなことをやりたい」と世間の荒波の中に飛び込んだ友人たちの覚悟や勇気に嫉妬をして、小さく勇気が足りない自分を情けなく思っていました。

世間では『勝ち組』なんて呼ばれているけど、全然、勝ち組ではなく、戦うことを棄権した弱い人間。少なくとも、当時の僕はそう思っていた。

サラリーマンとして働くことは夢を捨てた『負け組』であって、褒められれば褒められるほど惨めな気持ちを抱いたのです。

サラリーマンには夢も希望もない。真の『負け組』はサラリーマン - 底辺からの視線

サラリーマンとして働く意義とか、安定した普通の生活がどれ程大変なのか、なんて考えられる程の知識も経験もなく、ただ世間で言われれる「普通」にはなりたくなかっただけ。

そんな後ろ向きな考えじゃ、したくても就職ができなかった人たちに申し訳ないと自分に言い聞かせていました。

これがサラリーマン、社会人としての生き方。

輝かしい入社式

就職先は一部上場の企業だったので、それなりに新入社員もいて、グループ会社全体で数千人規模の入社式が行われました。

小心者の僕は、入社式の会場までの時間が読めず、早めに会場近くまで移動し、会場前の喫煙所で時間を潰します。当時はそこかしこに喫煙所というか、灰皿が設置されていて愛煙家には天国のような時代でした。

多くの愛煙家が群がる灰皿からちょっとだけ距離を取り、タバコを咥えながら、会場に入る同期であろう新人たちを見て、ゲンナリしました。

(みんな真面目かよ・・・)

リクルートスーツをビシッと着てネクタイもしっかりと締めている真面目な奴しかいない・・・。当たり前のように、サラリーマンになることに疑問も持たず、幸せそうな人たち。友達にはなれそうにありませんでした。

僕が期待していたのは「火ある?」なんてベタな出会いで火を貸して「どうも、どこから来たんすか?」なんて仲間を作る場。なのに、金髪でクルクルパーマ、ネクタイを緩めタバコを吸っている僕をチラチラ見て、目が合うと目をそらす人間ばかり。

ちなみに、なぜそんな頭なのかというとただの失敗パーマです。パーマで髪の毛が傷み、色が抜けてしまったからで故意ではありません。

黒く染めても良かったんだけど、はじめが肝心。なめられないようにという田舎のヤンキーみたいな考え、目立って自分を追い込むというか、世間がいう普通は僕の中では壊すものですあって守るものではないのです。

(クソつまらんな・・・)

なんて思いながらタバコを咥え、缶コーヒーで流し込んでいたとき、数人の女子の集団が目に入りました。

(すげ〜、いい女・・・)

黒のパンツスーツをビシッと着こなし、自信に満ちた足取りで颯爽と歩くショートカットの女子を中心に可愛い女子の集団。なんかスーツ姿の女子ってエロく感じます。感じますよね?

そんな可愛い女子集団に見惚れていると、中心にいたショートカットの娘と目が合ってしまいました。

(ヤバい・・・。エロい目で見てもうた・・・)

内心、ドキドキしていたのですが「目をそらしたら負けだ」という変なプライドがあり、目線を外さずにいると大きな目で睨み返されました。思わず目を逸らしてしまいました。ガンの飛ばし合いは負けです。完敗です。

なんか、だらしない格好をしている自分が悪いような気がしてきて、タバコを消しネクタイをしっかりと締め直し、緩んでいたベルトをしっかりと上げ、真面目モードに・・・。金髪パーマだけど・・・。

それが僕とクソ生意気な娘とファーストコンタクト。第一印象はキツい女。絶対に絡んではいけないと僕の冴えわたる勘が訴えててきました。

新入社員研修で再会する

配属された職場に慣れる前に3泊4日の新入社員研修が行われました。

残酷なもので、入社から1ヶ月も経っていないのに男子の中で『出世レース参加者』と『落ちこぼれ予備軍』の選別が始まりました。僕は金髪パーマ、さらに弱い自分を隠すため「陽気でバカな男」を演じていたので、直ぐに落ちこぼれ予備の筆頭、仕事より盛り上げ役という立ち位置に落ち着きました。

基本的に人見知りで好き嫌いが激しく、集団行動が苦手で、そんな社会人としての欠陥品であることを隠すためのキャラ。凄くツラいけど、会社という組織で生き残るために必要な努力。

ただ研修の講師からも『飲み会要員』として無理矢理ハイテンションで盛り上げる。ほぼ初対面のでお互いに探りを入れている集団。誰かが弾けてバカをすれば、周りはおのずと「あいつより俺の方がマシ」と感じ、心だけでなく、口が軽くなるのです。

人間現金なモノで自分以下の人間を発見し、誰かを見下すことができるようになるとリラックスして話で始めるんです。これ、豆知識。

場を盛り上げ、みんながリラックスして語り始めれば、後は勝手に会話は続く。放っておいても大丈夫。十分仕事はしたよ・・・。

タバコを持って席を立つと何かを勘違いして僕をリスペクトしはじめた男たち、研修の講師たちが「タバコ? 行くかっ」と寄ってきて、小集団を引き連れ、外の喫煙所までご一緒します。

(ひとりになりたい・・・)

僕はひとりになりたくてタバコに出たのに、何か面白いこと言ってくれるんじゃないかと期待に目を輝かせる落ちこぼれ予備軍はどこにでもついてきます。こんな僕をリスペクトしてくれる人たちを無下にもできず、一緒に喫煙所へ。

一服して会場に戻る途中、トイレに寄り、うんこ部屋で時間を潰し、みんなと別れてから、自販機で買ったコーヒーを片手に庭の喫煙所に戻りました。

電球がひとつだけの薄暗い喫煙所のベンチでタバコをふかしていると、入社式でガンの飛ばし合いをした娘が・・・。

「お疲れ。ひらめくんだっけ?」

「うん。そっちは?」

「奈央。よろしく」

「うん。飲んでる?」

「私、お酒飲まないんだ」

「ああ、そうなんだ・・・」

「タバコ?」

「吸わない」

「・・・」

苦手な人間とは距離を取りたいと思いながらもニコニコとバカなフリをしながら、自分の殻に閉じこもり缶コーヒーとタバコ・・・。

僕は、誰からも好かれたいとも思っていないし、自分が好き嫌いが激しいので誰かに嫌われても問題ないと考えていました。なので、嫌われても問題ない人間には冷たい。なんか、お互いに嫌いであれば交わらないのでwin-winだとすら思っています。

(・・・ひとりにしておいてくれないかな・・・)

その娘は予想に反してベンチに腰を下ろした。ちょっと面倒くさいと思いながら、視線を向けると

「ムリしてるでしょ?」

この娘は視線を逸らすことを知らないんじゃないかというくらいの勢いで僕の目を見つめてくる・・・。

「そんなことないよ」

真っ直ぐな視線に耐えられず、また目線を逸らしてしまう・・・。

「嘘つきなんだね」

なんか初対面で「嘘つき」なんて言われて腹が立ったけど、そこは演じているキャラにブレはありません。

「そうかもね」

と笑顔で切り返しました。

というか、上手く隠せていると思っていた冷めた僕を見透かれた気がして焦りました・・・。社会人になって本音を見せたら負けで、建前という鎧で身を固め、弱い本当の自分を守らなければならないのです。それが弱者の生き残り方。

それが奈央との初めての会話。見られたくない本音の部分を見透かれ、より強固に身を固める決心をしたのでした。

先輩の彼女に会う

奈央に冷たく「嘘つきなんだね」なんて言われて答えられずに凹んだんだけど、新入社員は忙しくて気にしている暇もありません。

僕は金髪パーマの変わった新人、そして「かわいい後輩ちゃん」キャラを演じていたので、職場に馴染むまでは時間がかかりませんでした。

嫌っていた人も少なくはなかったけど、その話は違う機会に。

そんなある日、僕の教育係の先輩(仮に『石田さん』とします)から女子を紹介するから、彼女との飲み会に来いとのお誘いが・・・。

女子がいなくても飲みに誘われれば、必ず参加しているかわいい後輩だったので、ただ単に彼女の自慢をしたいだけだという石田さんの思惑はミエミエだったけど、そこはかわいい後輩ちゃんです。

「マジっすか!? 行きますよ!」

「彼女のかわいい後輩、連れて来てもらうわ」

なんて気が重い飲み会に参加することに。

可愛がってくれる先輩の誘いは断れません。だってサラリーマンだもん。

ということで、石田さんと電車に乗り、待ち合わせのイタリア料理屋へ。

はじめまして

彼女さん、石田さんを見つけるとめっちゃ笑顔で手を振ってくれました。

(めっちゃかわいい・・・)

理想の彼女さん。肩まで伸びる髪、程よいスタイル、何よりも笑顔が美しい・・・。

「どうも、ひらめです。めっちゃかわいいですね」

軽口は得意なのです。

「どうも、聞いてるよ〜。よろしく」

声も可愛い。

「こいつ、めっちゃ面白いから。なっ!」

待て待て、石田さん。ハードルを上げないでください。

「あっ、ひらめくん。この娘、知ってる?」

彼女さんの目線の先には奈央。知っているも何も結構、苦手な娘なんですよ。

奈央と目が合うと笑顔で

「久しぶり〜元気だった?」

(・・・なんか違和感)

ちょい待て。奈央さん、そんなキャラだったか? 人のことを嘘つき呼ばわりしておいて、こっちはめっちゃ凹んだのに何もなかった風? というか、そんな仲ではないハズ。

「ああ、同期の・・・。ごめん、名前は?」

(ごめん、ごめんなさい。睨まないでください。そんな目で睨まれるとオシッコ、チビるから。マジで笑えないから)

「・・・嘘、奈央さん。久しぶり」

本気でビビっていた一言なのですが、先輩たちはギャグだと思ってくれたみたいで、ツカミはOK。まあ、お酒が入った僕は最強です。もう、あることないこと先輩を持ち上げ、彼女さんは大爆笑。

これが僕の生きる道。サラリーマンとして、上司、先輩、お客様にクソみたいに媚を売り、嫌われず幸せに過ごすんだ。仕事と割り切れば全然問題ありません。

そして解散

えー。宴もたけなわでございますが、約2時間、石田さんのご機嫌を取り、彼女さんの心を鷲掴みにした楽しいお時間も残り少なくなってまいりました。

笑顔を絶やさず、つたない盛り上げ役もお役御免のお時間です。

「ありがとう。ひらめくん。また飲みに来ようね!」

「今度は石田さん抜きで来ましょう! 誘ってくださいよ。ケータイ番号教えておきますね」

「待て待て。ひらめ。それはおかしいだろ?」

「えー。良いじゃん? ヨッシーが忙しいとき、ひらめくんと飲んでるよー」

「僕はいつでもOKっす。というか、石田さんに内緒で行きますか?」

石田さんも冗談が分かる人なので楽しく解散。

「おう、ひらめ。また来週! 後は若い子で楽しめよ」

なんて先輩方二人は夜の街に消えていきました。

めでたし、めでたし・・・。

残された気まずい男女の話、その後については以下の投稿に続きます。

約20年前にある娘と会って今の自分がいる2 - 底辺からの視線

ヒトの評価は勘違いでされる。そこを忘れてはいけない

李下に冠を正さず。

すももの木の下で手を上げるとすももを盗むと勘違いされるからズレた帽子に手をかけることはやめましょう。つまり、他人に疑われるようなことはやらないようにね。という中国のことわざ。

法律を学んだことがある人は「疑わしきは罰せず」という概念を持っているかも知れないけど、科学を学んだ人、プログラミングを学んだ人は疑わしきは排除が基本なのです。白黒はっきりしないグレーをどちらにするかの問題なのですが、法律では「黒よりのグレー」も「白よりのグレー」も白であって罪に問われることはありません。

ですが、科学の実験では、沢山の可能性から疑わしき原因は排除して100%近く再現できるように環境を整えるのが基本。疑わしき原因は全て排除に行き真理を求めるのです。プログラミングも同様にバグの要因になりそうな箇所を排除出来るのが良いプログラマーだったりします。

閑話休題

全ての行動が白の聖人君子なんておらず、多くの人はグレーの部分、ブラックな部分を持っているのです。そして、そのグレーの部分は、判断する相手が持つイメージで白にも黒にも取られるのです。

元々、感じの良いヒトがグレーな行動をしても「間違ったことはしてないだろう」と白だと思われるし、普段から悪そうなヒトは「また何かやりやがったな」なんて思われてしまうのです。他人の評価なんて曖昧で過程や結果より、印象で大きく変わってしまいます。

炎上したYouTuberも、ある人からすると「あの人はそんな人間じゃない。何かあったんじゃないか」と心配されるし、ある人からすると「ほら見たことか。昔から怪しいと思っていたんだ」となる訳です。僕個人の意見からするとアレは黒かと思いますが・・・。

信用が失われた政治家は、本当に黙食だったのかも知れないけど5人以上で会食をしたんだろ? 国民が我慢をしているのに、どうしてお前らは会食を楽しんでいるんだ!となる訳です。世間は適当で、嘘か本当かなんて調べることもなく、あくまでもイメージで判断をして炎上してしまうのです。

有名人に限った話ではなく、会社や近所でも同じことが起きていて他人の評価なんて、いい加減で信用できないのです。見た目や印象だけではなく、過程や結果をしっかりと分析をして良い人なのか、クソ人間なのかを判断する必要があるのに誰も真理を追究しようとしない。勘違いを正そうとしないのが問題だと思うのです。

正義か悪魔なのか、正しいのか間違っているのか、白なのか黒なのかって凄く気になり真相を知ろうとすると空気を読めなんてクソみたいな同調圧力がかかり、グレーのままで納得ができず、やるせない気持ちで悶々としてしまいます。

こんな世の中だから炎上したメンタリストのように印象操作をしてファンを集める人間が出て来るのです。そしてイメージだけでメンタリストの言っていることは全て正しいなんて違和感を持つこともなく、鵜呑みにしてしまう人が増えてしまうのです。

やっていることは信仰宗教の教祖と変わらなくて周りから見ると「なんで?」と思うことでも印象操作、マインドコントロールをされている状態、勘違いで評価しているのです。もちろん、良いことも正しいことも言っているのですが、冷静になって分析すればマユツバのことだってあるし、裏付けがない浅い考えだって凄くたくさんあるのです。

メンタリストDaigoの炎上を見て感じたのはYouTuberやブロガーなど個人で情報を配信することが簡単になった世の中だからこそ、情報の取捨選択の大切さ、配信する側のモラルの必要性が大事だということです。

このブログでもそうですが、言いたいことが勘違いされて受け取られることだってあるし、僕が勘違いをしていることだってあるのです。

マジで気をつけよう。

 

今年の夏も移動自粛らしいが守る人間はどれ程いるのか。

今年の夏、2021年の夏は、東京オリンピックのネガティブな話題で盛り上がり、テレビでは連日オリンピックを楽しめと言わんばかりにスポーツを垂れ流しています。僕は本来、スポーツが好きでこんな状況でなかったら年甲斐もなく、渋谷のスポーツバーで若者と盛り上がりテンションマックスで騒いでいたと思いますが、家で家族と見る無観客のオリンピックは盛り上がらず悶々としています。

この人類稀にみる経験したことのない緊急事態宣言下でのオリンピックの開催には色々な意見や感情があると思いますが、やることを英断したリーダーたちの意見を尊重し、一丸となり成功に向けて国民が協力することが必要で、日本人はそれができるはずです。ただし、国民が納得できる理由があれば。なんですよね。

本来、日本人は皆んなで協力し、何かを成し遂げるのが大好きで、その同調圧力に屈しない人間を「空気が読めない」とか「キチガイ」なんてレッテルを貼る国民性です。良くも悪くも一丸となって何かに取り組むことが得意なのです。反対に「赤信号、みんなで渡れば怖くない」と変な方向に一致すると手がつけられないのも国民性です。

今年の夏は、どう考えても「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という方向に流れる気がしてなりません。頭では悪いことだと理解をしているのですが「みんなやっているし大丈夫じゃね?」と考える人間が多くなり、お願いベースでは「移動したい」という欲望は止められません。

去年の緊急事態宣言と比べて

 去年の『緊急事態宣言』はデパートもやっていないし、イベントもことごとく中止になり、緊急事態なんだと理解ができたのですが、今回の緊急事態宣言はデパートは営業しているし、世界的に有名なスポーツ大会も東京で開催されています。街を歩けば多くの人がマスクはしているものの楽しそうに生活をしている姿が垣間見えます。

東京の通勤電車だって相変わらず混んでいるし、都内でランチを食べてるのに並ばなければ入店できないようなお店まであります。去年はランチを食べるにもお店が開いていなかったし歩く人たちもどんよりと沈んでいた気がするし、電車もほとんど人が乗っていなかったのですが、今年は全然、人が減ったという実感はありません。

その一番の違いは「慣れ」ではなく諦めのような気がしてなりません。去年は僕も「感染しないように気をつけなければ・・・」と思っていましたが、今年は「感染したらしょうがない」と諦めがあるのです。

さらにいうと日本政府に対する諦め。こいつらは何を言っても変わらないなという諦めです。色々と文句を言うのは対策をしてくれるだろうなんて淡い期待があるからで、諦めると何も感じなくなるのです。そして、今は協力しようなんて気が全然湧かず、みんな自由行動を取るのです。

感染爆発の未来しか見えん

急に新規感染者数が増え出したのもお盆という一大イベント前に国民を脅そうなんて裏があるのでは?なんて勘ぐってしまいます。ですがもう取り返しのつかないところまで来てしまったのです。

残念ながら一部の人を除き、殆どの人が行動します。アクティブな2割は緊急事態だろうが平時だろうが行動します。この人たちは何を言っても関係ありません。去年も行動していた人間たちです。そして、粛々と自粛する人間も同数2割います。この人たちは今年の夏も自粛をするでしょう。

残りの6割の人たちは、空気を読み、周りに合わせるタイプで今の日本では行動するアクティブ派が優勢です。オリンピックもやっているし、対策をしない国に対して反発心が芽生え、行動に出るでしょう。つまり国民の8割が動くのです。去年はこの6割の人たちは自粛をしていたのですが今年はおそらく家に籠ることはありません。

行動することが悪いことだとは思いません。しっかり対策を取って感染しないように細心の注意を払って行きましょう。

オリンピック女子サッカー敗退。残り10分でチャンネルを変えた理由

最近の少年サッカーを観ていても、日本代表戦を観ていてもワクワクしない理由は何かを考えました。きっかけは、昨日のオリンピックの女子サッカーをテレビで観ていて途中で応援する気がなくなり「あっ勝てねえな。これは」と感じたことです。本当はスポーツなので勝敗は重要で気にしなければならないのですが、僕はあまり勝ち負けにはこだわっていなくて、スポーツに求めるのはワクワク感なのです。0-10で負けていても1点を泥臭く取りに行く選手たちの勇気を求めているのです。なので昨日のスエーデン戦は途中でチャンネルを変えてしまった。

技術は間違いなく上手くなっているんだけど、絶対に勝ってやるという気持ちが見えなかった。球際の強さとか必死さの差を感じ「あっ勝てねえな。これは」となってしまうのです。

世界レベルは程遠い

代表戦であのような残念なプレーをされると日本サッカーからファン、サポーターが離れてしまうのです。スキル、技術、戦術は世界に追いついて来ましたが、まだまだメンタルというか試合に挑む気持ちの部分で負けているという印象を受けました。というかスキルが上がり、海外チームとレベルが拮抗すればするほど最後はメンタル、気持ちの問題になり、余計目立つのです。

凡人の僕が観ていても感じる違和感なので、日本を代表する選手、監督、コーチ、スタッフは気づいていると思います。ですが、この気持ち、メンタルの部分はなかなか改善するのが難しく、改善するためには時間と手間がかかります。偉そうに言っていますが、僕は少年サッカーを指導していてこの気持ち、メンタルの部分の強化はサッカーだけでなく、全ての生活に影響を与えることを実感しています。

そして残念ながらここ数年、子供たちを観ていると少年サッカーから女子日本代表のようにガムシャラさを感じなくなってしまったのです。

クソみたいな指導のせい

最近の少年サッカーの指導を観ているとまずは技術、スキルの習得だと考える指導者、保護者が多く、スキルの差があれば負けて当然という雰囲気がプンプンとします。もちろん、サッカーでボールを扱う技術は必要ですが、それ以上に勝ちたいという気持ちが必要なのです。

なでしこジャパンが10年前に偉業を成し遂げたときは明らかに海外のチームより技術的に劣っていました。ですが、必死に食らいつき試合後に立てなくなる選手も見受けられ必死さが伝わってきました。そこから海外に負けないくらいの技術を身につける指導をコツコツとしてきたのにこの有様です。きれいにサッカーをすることにばかり気を取られ、スポーツをする上で一番大切なことを置いてきてしまったのです。

少年サッカーに足りないもの

技術の習得は理論的にどうすれば良いのか纏められ指導法とて確立されてきています。それは草の根の少年サッカーの指導も年代ごとにどんなスキルを習得れば良いのか、将来の日本サッカーを強化するための指針が示されています。ですが、理解をしていない保護者、指導者のせいで子供たちから大事な気持ち、メンタルが抜け落ちてしまっているのです。サッカースクール化しているというか技術の習得だけが目的になり、試合は技術を披露する場になっている印象で、本来は試合に勝つためにトレーニングを積むハズなのに技術を身につけるトレーニングを小学生時代から繰り返し、ガムシャラさや必死さがなくなってしまっているのです。

低学年のうちはいわゆる団子サッカーで必死にボールを追い、勝とうが負けようが相手より必死になってボールに対する執着心を育ててあげなければならないのです。大人のサッカーを押し付けカッコ良く勝ちたいとバカみたいな指導をするコーチ、そしてそれを良しとする保護者が日本のサッカーをつまらなくしているのです。

応援している人がワクワクするためには、必死に頑張る姿が必要で、多くのサポーター、ファンはそれを求めているハズです。このままでは日本サッカーからサポーターが離れ、廃れていってしまうなんて凡人の僕でも危機感を抱いてしまいます。

やっぱり草の根の少年サッカーから見直した方が良いんですよ。10年後の日本サッカーを危惧して終わりにします。