底辺からの視線

中年親父目線で気づいたことを雑記的に書き殴るブログ

「苦労は買ってでもしろ」なんてことはない。苦労なんてしない方が良いに決まっている

「苦労は買ってでもしろ」なんてよく言われるけど、苦労をしまくった46歳の親父からすると苦労なんてしない方が良いに決まっています。

一番良いのは、苦労もなく、楽しく生きること。できるだけ苦労を避けるために労力を使うのが正しい生き方です。

苦労なんてしたくないと思っていても、向こうから勝手にやってくるのが苦労です。一生懸命、苦労を避けようとしているのに嫌でも襲ってきます。なので、苦労をするために苦労をするなんて愚行であって「楽しく生きるために」致し方なく苦労を味わえば良いのです。

特に仕事をしていると理不尽なことや不運としか言えないようなことが平然と起こるのが世の中で、行動の目的を達成するためには乗り越えなければいけない苦労があるだけです。苦労なく目標が達成できるのが一番ラッキーで、苦労をしないためにあれこれと準備をするのが正しい生き方です。

まだまだ残業休出、会社のために働くことが当たり前で、仕事をバリバリするビジネスマンが世間で、もてはやされていた2000年頃のお話です。

当時、僕は新卒のサラリーマンで、効率が悪い働き方に対して悶々とし、上司や先輩に噛みつき「『苦労は勝手でもしろ』というだろ? それが今だ」と訳のわからない理由で、立派な社畜になるための教育的指導を受けていました。

「苦労は勝手でもしろ」だと?

入社して約半年。同期で僕と同じ職場の男子が「会社を辞めようと思っている」なんて相談を受けました。彼(仮に『坂本くん』とします)は専門学校を卒業し、ちょっと繊細な感じを受ける線の細い男の子でした。

僕は社会人らしからぬ服装、行動をしていたので、同期の中では『落ちこぼれ予備軍』のトップとして周りから認められつつも、職場ではラクをするために必死に自分のポジションを確保し、それなりに仕事をこなしていました。

坂本くんは、そんな社会不適合者の僕を何故か慕ってくれていて、職場ではいつも寄ってくれてきていたのですが、夏過ぎくらいから忙しそうというか、明らかにキャパオーバーで仕事をしていました。

「坂本くん。ちょっと飲んで帰ろうよ」

「もう少し仕事をして帰らないと・・・」

「知ってる? 『明日できることは明日やる』んだよ。行こうよ」

「・・・後、10分待ってもらえますか?」

「うん。喫煙所にいるよ」

ということで、坂本くんと飲みに行くことに・・・。

「「お疲れ様!!」」

「なんか、最近忙しそうじゃん? 大丈夫?」

「仕事ができないから、先輩たちに迷惑をかけちゃうんですよね・・・」

「坂本くん。できないことはできないって言わんと」

「・・・そうなんですけど、なかなか言えないんですよ・・・」

「そうか。まあ良いや。飲もう」

坂本くんはどちらかというと要領が悪いというか、何をすればどうなるかという想像力が足りないと感じていたので、なんとなく心配になっていたんだけど予感が的中したというか、想像をしていた通り、仕事に押しつぶされてしまう寸前でした。

「ひらめさん。僕、会社辞めようと思っているんです・・・」

「マジかっ? まあしょうがないよね」

「『苦労は買ってでもしろ』なんて言われたけど、やっぱりツラい・・・」

「そうか・・・」

「良いですよね。ひらめさん。仕事で苦労をしている感じがないというか、余裕があって・・・。僕、頭悪いじゃないですか? なので一生懸命、仕事を覚えようと思って頑張っていたんだけど、やっぱり無理でした・・・」

「そうか・・・」

「苦労なんてしたくないけど、何をするのもツラくて・・・」

「うん・・・。苦労なんてしない方が良いよね・・・」

「野田さんみたいに忙しくても頑張れる根性があるか、ひらめさんみたいに仕事をしないか・・・。なんか上手くいきませんでした・・・」

野田とは僕たちの同期で、出世することに命をかけているウザい人間でした。ちなみに僕は仕事をしていないわけではなく、自分のキャパ以上のことはやらないだけで、新人のキャパなんて小さいので、結果的に仕事をしていなかっただけ。

なんか、社会人の底辺で生きる人間同士、しみったれたお酒になってしまいました・・・。

仕事での苦労は必要か?

仕事をしていれば、理不尽なことや不運なことは必ず降りかかってきて「悪いのは俺か?」「俺は悪くない」なんて感情を押し殺し、ただ淡々と目の前の仕事を片付けていくことにだけ集中をすれば良いのです。

同じ苦労でも、自分のスキルを高めるための苦労はしなければならないのですが、それは仕事をラクにこなすための手段であって、苦労ではありません。類稀なるセンスの持ち主で、頑張らなくても稼ぐことができるなら、苦労なんてする必要はない。

僕は苦労を売りたいくらいしてきたけど、一度も苦労をして良かったなんて思ったことはなく、できることなら苦労をしなくて済むように準備をしてきました。

苦労をすることより、苦労を避けるために試行錯誤をする方が大切で苦労をしたからと言って良い人間になるとは思わないし、むしろ楽しく生きている人間の方が余裕があり、周りの人間に優しくできるのではないでしょうか。