底辺からの視線

中年親父目線で気づいたことを雑記的に書き殴るブログ

【少年サッカー】ジュニアユースの監督をやって気付いた少年サッカーで習得するべきスキル

僕は少年サッカーの指導者を8年、ジュニアユースの監督を2年。サッカースクールのコーチを2年続けました。世間で叩かれる対象のお父さんコーチでしたが、どう考えても子供たちのためにならない指導を行っていた当時のクソチームを変え、息子を含む子供たちのために少しでも役に立ちたいとJFA公認C級コーチを取得し、他チームの指導者と交流を深め、意見を交換し、切磋琢磨し、子供たちに指導をしていました。

息子の卒業と同時に、以前から声をかけられていたジュニアユースのクラブチームでの監督を引き受け、中学生の指導を行ったのですが、残念ながら代表の私生活の乱れから、解散せざるを得なくなり、志半ばでチームが解体することになってしまいました。ですが、ジュニアユースの監督をした経験は大きく、ジュニア時代、少年サッカーでどんなことを学んでジュニアユースに上がれば良いのか、中学生、高校生でどんなことを学ぶのかが理解できました。

とは言っても、僕が指導した少年サッカーのチームも、監督を務めたジュニアユースのクラブチームも、それほど強豪のチームではありません。街のボランティアチームでサッカーをし、圧倒的なスキルや体力で周りを圧倒できる子供ではなく、地域トレセンに選ばれるレベルで中学校のサッカー部では物足りないと言うレベルの選手が集まる弱小クラブチームでしたが、少年サッカーをしていたチームの指導方法により、ジュニアユースでの成長率が変わるのを実感しました。

どんぐりの背比べで入ってきた子供たちでも、1年経たずに伸びる子と伸びない子がはっきりと別れ、高校に上がる頃には大きな差になるのです。少年サッカーで自分で考えること、判断することを徹底的に教え込まれた選手はグングンと伸び、反対に指示をされ忠実にこなすスキルを身につけた選手は伸び悩んでしまいます。セレクションや入ってきて直ぐのトレーニングでは、同程度に見えますが3ヶ月後くらいから徐々に差が開き、半年くらい経つと目に見えてプレーの質が変わってきます。1年生でも3年生の試合に出れるのは前者で、反対に3年生になっても試合に出場すらできなくなるのは、後者とはっきりと別れてしまいます。

もし、あなたの子供が少年サッカーをしていて、将来サッカーを続けて欲しいと思うのであれば、子供に判断の訓練をしてくれる少年サッカーチームを選択してください。ぶっちゃけた話ですが、コーディネーションと判断の訓練だけを少年サッカーで学んで欲しいと思います。技術やサッカーの戦術については、後の年代で、いくらでも教え込み習得させることが可能で、小学生のうちから身につける必要はありません。それよりも習得までに時間のかかる『判断』と思い通りに身体を動かすために必要な『コーディネーション能力』の訓練だけで良いのです。

少年サッカーのコーチの勘違い

少年サッカーを教えている指導者の多くは、止める、蹴る、運ぶ技術が必要だと認識をしています。もちろんサッカーを行うために必要な技術なので、ボールを止める、蹴る、運ぶ技術はとても重要で小さい時からしっかりと身につけて欲しいと思います。

ここまではサッカーの話ではなく、サッカー以前の話でサッカーをするために必要な最低限のスキルであって、どんな指導者でも必要だと感じトレーニングを行うことが多いと思います。そして、その後、学年でいうと3、4年生くらいからは残念ながら指導者によって中学生になり、活躍できる選手になるか、クラブチーム出身という名声とクラブチームの運営のためにお金を払う選手になるかが決まってきてしまいます。

生臭い話になってしまいますが、少年サッカーのボランティアチームと違い、クラブチームの場合は運営をするにもお金がかかります。トレーニングを行うグランドの確保、各大会に参加する費用、監督やコーチの人件費など月に20~50万円の維持費が掛かり、少数精鋭のクラブチームなんて贅沢なことはできません。なので、最低でも各学年20人程度が必要で3学年で60人くらいの世帯のクラブチームが主体です。10,000円程度の大きな負担を強いても60人の選手がいなければクラブチームは存続ができません。どんな強豪チームでも懐事情は一緒で、試合に出れないとわかっていても、入ってきてくれて月謝を払ってくれる選手は必要なんです。Jリーグ下部組織でもその辺は変わらず、運営を続けるために戦力としてではなく、財力として取ることがあります。

少年サッカーを始めるときは近所の小学校で活動をしているチームに入ると思いますが、中学年から高学年にかけての指導で子供たちが、その先に成功するかしないかの大きな差になるのは、判断の訓練をしているかなのです。

僕が観ていて少年サッカーの指導者の大半は、子供に判断をする訓練をしていません。一番大事な判断の部分を指導者が指示を出し、子供たちは忠実にプレーをするスキルを身につけるのが正解だと勘違いをしているのです。小学生のうちに判断する基準である『プレーの優先順位』を教え、判断は子供たちに任せる必要があるのですが、プレーの優先順位を理解しておらず、自分たちがやってきたサッカー、憧れているサッカーを子供たちに押し付け、判断をする訓練をしていないのです。

一生少年サッカーを続けるわけではありません

そのクソみたいな戦術を押し付けられた選手はチームの戦術が変わると対応ができず、上手いんだけど活躍ができない可哀想な選手になるのです。少年サッカー、特に現代では8人制が主流になり、そこで身につけた戦術は11人制のサッカーでは通用しません。そんな単純なことが分からずに大人の考えを押し付け、不幸な選手を量産しているのが少年サッカーの現実で、勝った負けたと一喜一憂し、クソみたいな指導者とアホな保護者が喜んでいるのです。

もし、少年サッカーのチームで中学生、高校生と続けることが可能で将来的にプロにまでつながるのであれば問題はないと思いますが、そんな理想的なボランティアチームなどあるはずもなく、必ず指導者が変わり、プレーするための戦術も変わるのです。

東京オリンピックサッカー男子代表にはフロンターレのジュニア(U-12)出身の選手が三苫、久保、板倉、三好、田中碧がいますが、彼らをフロンターレのU-12で指導した高崎さんと当時話をしたのですが、高崎さんも「フロンターレのサッカーはU-12ではさせていない」とおっしゃっていました。と言うのも全員がトップに上がれるわけではなく、色々なチームで活躍することになる。その監督やチームの事情によって戦術は変わるし、全てを教えてもらえるわけではない。なので、自分で判断をして行動できる選手を育てないといけないとおっしゃっていました。Jリーグの下部組織ですら、次の指導者に引き継ぐために判断力を身につけさせているのに、街のボランティアチームがクソみたいな戦術を押し付けると、次の年代で何もできない選手を育ててしまうのです。

良いチームの見極め方

これは指導者にも保護者にも知って欲しいのですが、良いチームは中学年から高学年にかけて判断を伴うトレーニングを行っています。と言ってもトレーニングを知らないと難しいですよね。ですが、ちょっと観ただけで良い指導者か、そうでないかは分かります。

それはレーニング中に子供たちにどんな声をかけているか

「どうだった?」とか「こっちは観れたか?」とか疑問形で声をかけている場合は子供たちに判断をさせようと考えている指導者です。これは日本サッカー協会公認C級コーチの講習会でも口を酸っぱく言われることで、子供たちに状況を把握させ、判断をさせる訓練なのです。

そして判断をさせるためには必ずプレーの優先順位があり、その優先順位はサッカーのルールが変わらない限り変わることのない原理原則なのです。

ジュニアユースの監督をして気付いた少年サッカーで習得すべきスキルは、習得までに時間のかかる『判断』と思い通りに身体を動かすために必要な『コーディネーション能力』です。技術的なスキル、戦術は上の年代でも十分に教え込むことは可能だし、ボランティアチームのクソみたいな指導者よりプロとして学び、教える指導者の方が間違った指導であるはずがありません。

指導者の皆様には子供の将来を潰さないで欲しいし、保護者にはそんなクソみたいな指導者から我が子を守ってもらいたいと思います。